北海道のお米のはなし

北海道のお米のはなし

こんにちは、お米は断然コシがあって噛みごたえのあるものが好きだよ派の髙田です!
実は私は地元旭川の米農家の生まれですが、今まで全く農業に携わったことはありません。しかし、今回は今現在の北海道米の状況から「逆算」して、過去のマーケティング担当者になった気持ちで「売るための戦略を」想像してみようと思います。

北海道のお米、今昔

今でこそ「ゆめぴりか」や「ななつぼし」が北海道内外で人気を博していますが、かつて北海道のお米は味が良くなかった、というのもまた有名なこと。実際どの程度不評だったのか?と私の父に聞いてみました。父曰く、

「猫またぎ」って言われてたわ!
(猫も食わない、またいで通るという意味)

とのことで、本当に美味しくなかったようです。※個人の見解です。

そもそも昔は食料の需要と価格の安定を目的とした「食糧管理法」という法があり、それによって多くが国に買い上げられていたというお米。
しかし、食の欧米化が進み、全国的に米が余るように。農家からの買取価格より、市場への売値の方が安くなってしまうような事態も起き始めました。

この状況下でイマイチ味の良くない北海道のお米を「美味しい」ものに変えるため、1980年から始まったのが「良質米の早期開発」プロジェクトです。
これにより、寒冷地での栽培に適している上に味も良質な「きらら397」という品種の開発に成功。のちの「ゆめぴりか」や「ななつぼし」の躍進につながっていくのです!

美味しくなった!でもそれだけで売れるのか?

品種改良の努力によって「味が良く、寒冷地の栽培に耐えうるお米」へと変貌を遂げた北海道米。
しかし、ただ美味しくなっただけで飛ぶように売れたかというと、そこまで甘くもないでしょう。
ここから先必要なのは「売るための工夫」。まさに、マーケティングの分野ですね!

売るために必要なことって何だろう?

北海道米がどんなマーケティング戦略を行なってきたか、考えてみました(一部私の想像も含まれます)

1. ブランディング
美味しいお米、「きらら397」はでき上がった!

でも、まずは既存の「北海道米は不味い」というイメージを払拭しなければ、消費者に買ってもらえないだろうな……。今までとは異なる全く新しいイメージのブランドを作り出して、悪いイメージを変えたいなあ。

そうだ、名前を一般公募するのはどうだろう?
米を選ぶのは主婦が多いだろうから、パッケージも主婦層の目に留まるかわいらしいキャラを使って、目を引くものにしなきゃ。

  • キャッチーな商品名
  • かわいいイメージキャラクターのパッケージ

を作って、イメージ一新だ!

2. 広報・PR活動
まずは「美味しい北海道米」が存在することを、知ってもらわなきゃね!
お米は日本人の主食だから、ターゲット層はほぼ全ての日本人。
TVCMで、たくさんの人に知ってもらおう!
3. CMを見た人の中に潜在的な顧客が生まれる
北海道のお米なんて、本当に美味しいんだろうか?
最近よくCMやってるし、スーパーにも置いてあるよなあ。「きらら397」か、どんな味か、ちょっと興味あるなあ……
4. 消費者が購入・リピーター生まれる
  • 実際に食べると味が良くなっていることが伝わる
  • 北海道米の品質への期待、信頼感が醸造される
  • リピーターになってくれる顧客が生まれる
なんだ、北海道のお米にも美味しいのあるじゃん! 
これならまた買ってもいいかな……
5. 消費者の意見をもとに商品のアップデート、新たな商品開発
やった売れたぞ!!
実際に食べてくれた人たちの意見をもとに、更に品質を向上させよう。

年代、性別、住んでいる地域などによって食味の好みはかなり異なるみたい。その嗜好に対応できれば、更に新しい顧客層を開拓できるかもしれない。
そのための新たな品種を開発しよう!

粘りが長持ち、冷めても美味しい「ななつぼし」誕生!

北海道は土地が広大だから、地域ごとにすごく気候の差があるんだよね…
各地域の気候に適していて、栽培しやすい品種の研究開発できたらいいなあ。

暖かい道南で栽培に適した、「ふっくりんこ」誕生!

【1に戻ってブランディングから繰り返す!】

  • コシヒカリに勝るとも劣らないと評判の、「ゆめぴりか」が大人気に!
  • 日本穀物検定協会の食味ランキングで「特A」を受賞!(2011年)
6. 差別化された人気商品が複数生まれる
やった、品質が高くて人気のある銘柄が複数できたぞー!
もっとどんどん売るぞ!

かなり簡潔にまとめましたが、ブランディングから広報、更なる商品の開発を経ていくうちに顧客層も拡大していき、リピーターもつき、ついには大ヒット商品を複数持つようになる……。自分で手がけたマーケがこんな結果を出せば、理想的ですよね!?

マーケも農業も、日々の改善の積み重ね

現実には農作物は年によって出来不出来もありますし、品種改良だって思い通りにいく保証は全くありません。これほどスムーズには行かず、一年ずつ小さな改善を積み重ね、状況が停滞しているように感じることになるかもしれません。

しかし、弊社のマーケティングロックスターはよく言っています。マーケティングとは本来地道なものだと。
最初に打ち立てた戦略に沿って、少しずつ改善を日々積み上げていくのが本来で、近道なんてないんだよ、と。

まさに、北海道の農業に携わる人々が、40年以上にわたり北海道のお米をより良くするために地道に努力し続けた、その歴史が証明していると思いませんか? 以上、米農家出身の髙田が語る、北海道のお米とマーケティングのお話でした。

執筆者プロフィール

高田宏美
高田宏美
ルシダスのアシスタント、髙田宏美です。記念すべき令和元年の12月から旭川本社へ勤務しています。出身は旭川。高校卒業と同時に札幌へ。Web系の専門学校を出たのち…[続きを読む]

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