「内地(ないち)」。
それは北海道民、特に年齢高めの世代が、道外のあらゆる地域(おもに本州)を指して呼ぶときに使う言葉です。
ここで1つ、注意しておきたいことが。
内地というのは、そもそも第二次世界大戦以前の日本本来の領土を指して使われていた言葉です。
対して、植民地や占領地を「外地」と呼び分けていました。
当然、戦後に外地はすべて失っているので、本来は北海道を含めて日本全土が内地になるはずなので、使い方としては誤りなのですが……。
なので今はこの呼称、ほぼほぼ「北海道弁」だと思っていただいてOKです。
ーーとにかく北海道は、未だに「北海道独立論」を唱える人もわずかながら存在するほどに、「本州その他」とは所属意識を異にする、アイデンティティーの強いお土地柄です。
そんな地域色豊かなお土地柄で、道外から何かしらの製品やサービスを売っていくにあたり、考慮すべきポイントとは何でしょうか?
北海道、その二極性
まず直面すべきは、「北海道」とひとくくりには語れない現実。
政治、金融、医療などさまざまなサービスが札幌に一極集中し続けており、「札幌」対「地方」の二極化構造が浮き彫りになっています(東京から見たら札幌も立派な地方なんですが、汗)。
そのため、札幌と、それ以外の地域では、市場のセグメント構成など、マーケティングを展開する上での条件が全く異なります。
さらに、道内外から人口の流入(その分流出もある)している札幌圏では、人間関係へのこだわりが希薄なため、新規参入のビジネスであっても比較的入りやすい傾向があります。
これが札幌圏外に出ると、人間関係重視で保守的な傾向が強まるため、札幌とは明らかに異なるアプローチが必要になってくるのです。
食文化は意外に保守的?
新しもの好きなイメージもある北海道民ですが、意外にも「食」に対しては保守的。
この傾向は、札幌限定でも顕著に見て取れます。
200万近い人口に対して、イタリアンやフレンチ、エスニック(タイ料理やインド料理など)などの店舗分布数が、東京や大阪などの他の都市に比べて、圧倒的に少ないのです(流行るとすればせいぜいカジュアルなイタリアンくらい……)。
対して、昔から道民との親和性が高いラーメンやカレーについては、新店舗が出ればすぐに口コミが広まって行列を作ります。
これは、「基本、普段食べたことのないものには手を出さない」という姿勢の現れと思われます。
全国展開ビジネスは育ちにくい?
歴史的な背景から、「開拓者精神が旺盛」というたくましいイメージが色濃い北海道でありますが、「北海道開発局」という国家機関まである通り、開発自体が国策で進められてきた地域です。
そのため、意外にも東京資本への依存が強く(まあ、日本はどこの地方もそうなんですが)、逆に道内から道外へ展開していくビジネスは育ちにくいという風土があります。
道内では優良企業であっても(例:「セコマ」)も全国展開には成功していません。地元で贔屓にされて競争が少なく、全国あるいは世界に通用するマーケティングのノウハウが蓄積されてこなかったためでしょう。
まさに、北海道ガラパゴスといえる状況です(北海道の人から石投げられそうですが……)。
道外ビジネスが成功する可能性
以上のような市場特性から、道外の企業が北海道で成功していく可能性は豊富にあります。
ベストプラクティスとも言えるのが「ルタオ」。
確かに本店はその名前からくるイメージどおり小樽にありますが、本社は千歳市、さらに経営本体(親会社)は鳥取の企業です。
それがここまで「北海道ブランド」として定着したのは、それだけマーケティング戦略に長けていたということでしょう。
というわけでーー。
北海道への展開を検討しておられる企業には、北海道人の「大らか」「新しもの好き」(逆にいえば「マイペース」「移り気」)といった気質、さらに札幌一極集中という構造を踏まえた上で、自社のノウハウや強みを生かしていただければと思います。
「北海道そのものをブランドとして活用する戦略」あるいは「流行に敏感な道民の心をつかむ面白い発想」など、マーケティング次第で、その大らかな市場特性のどこかに必ず、ビジネスの可能性が見出せるはずです。
ぜひ、北海道にありながら、全国レベルの視点からマーケティング戦略をご提案できるルシダスまで、お気軽にご相談ください。
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