その入稿データ、大丈夫? 一発で決める画像入稿

その入稿データ、大丈夫?一発で決める画像入稿

治療を後回しにしてきた上の奥歯が、最近少しずつ痛くなってきたホンダです。
痛くなるし治療も大変だしで、大事なことの後回しは全くいいことなし!痛

関連して思いつくのが、制作の現場でクライアントからいただいた入稿データのチェックを、つい後回しにするケース。
チェックの結果不備が見つかり、クライアントに再入稿(データのもらい直し)のお願いをした際に「今ごろどうして?」と思われないためにも、早めのチェックはホント大事です。

中でも画像は、再入稿をお願いすることが多く、どんなデータが必要かちゃんと伝わっていないと、時にはこんな珍? データを受け取ることに……

忘れられない画像入稿の珍データTOP 3

第1位 どう直しても色が合わない画像

→印刷用に色変換後、保存のたびに圧縮され劣化したjpgデータが入稿されたのが原因(色変換されていない、できるだけ元データに近い画像をいただくのが正解)。

第2位 「画像データ」は文字データ?

→メールに添付されてきた画像データはPhotoshopではなく、テキストエディタでようやく開けた、判読不能の膨大な文字列だった(添付されていたのは、画像をBase64エンコードでテキスト形式に変換したままのデータで、こちら側で画像に戻せず)。

第3位 ノートPCまるごと入稿

→「デスクトップ画像になっている愛猫の写真を使いたいが、データの取り出し方がわからない」と、ノートPC本体を入稿! という荒技を繰り出された(丸ごと持って来られてもw)。

デザイナーがもらってうれしい画像データとは?

これらはいささか極端な例ですが、どれも結局再入稿が必要になりました。
では、デザイナーにどんな画像データを渡せば、こうした面倒を事前に避けられるでしょうか?
もらって安心の画像データを、デザイナーの立場から簡単にまとめてみました。

【大は小を兼ねる】

大きい画像は縮小して使えますが、小さい画像は拡大すると画質が落ちて使えないため、小さいよりは大きすぎるくらいがデザイナーとしては助かります。

ウェブやメールの場合、具体的にどのくらい以上ならいいのか?というと、たとえば画像を切り抜かず全部使うなら、幅は1200ピクセル以上をひとつの目安と考えます(高さは制限なし)。

【十分な背景がある】

人物が画像の枠いっぱいにおさまりよく写っているような構図は、切り抜くなど、背景に十分な余裕が必要な使い方ができないことが多く、要注意です。
ある程度引いた構図なら、十分な背景もありタテヨコ円形どんな形にでも切り抜けるので、デザイナーにとってはありがたい限り。

【目的に合ったフォーマット】

画像データのフォーマット(保存形式)にはそれぞれ特徴があるため、どんな絵柄で何に使うのかをよく考えて、最適なものを選びます。

jpg
フルカラーが扱え、写真に広く使われている。容量は保存時の圧縮率によって変わり、圧縮率に応じて画質の劣化度合いも変化
gif
任意の1色を透明にすることやアニメーションができ、圧縮で劣化せず容量も小さいが、扱える色数が少ないためグラデーションのない絵柄向き
png
gifの後継として登場。フルカラーが扱えて圧縮で劣化しない。アルファチャンネルで半透明の表現もできるが、容量はやや大きめ
WebP
容量が非常に小さく半透明表現やアニメーションもできるが、保存時の圧縮で画質が劣化。サポートしていないメーラーが一部ある
svg
拡大で劣化しないベクターデータで容量も非常に小さいが、メーラーでのサポートはまだ少数。グラデーションのない絵柄向き
heic
iPhoneでおなじみ。絵柄を問わず使え、圧縮による劣化は少なく容量も小さいが、標準でサポートされるのはApple製品のみ

当面、Webサイトやメールにはjpg、gif、pngを使うのがベストです。
写真はjpg、図表やイラストはpngと使い分けて、gifについてはすでにpngという後継フォーマットがある以上、アニメーションがある場合に限るとしましょう。
そして、判断に迷ったら使い道の広いpng! というのが、使い分けのベストプラクティスです。

なお、Webp、svg、heicはまだ新しいフォーマットで、それぞれご存じの方もおられるとは思いますが、一部のメーラーやMAツールなどで扱えないものもあるため、しばらくは様子見です。
特にメーラーはブラウザーと違い、新しいフォーマットに対応していないものが多いので、ウェブとメールで画像が共用される可能性を考えると、メーラーに基準を合わせるほうが安全です。

【他の文書に埋め込む際の注意】

クライアントからはWordやExcelなど他の文書に画像を貼り付けた、埋め込みデータをいただくこともあります。
これは渡す側で自由にレイアウトできたり、文字も入れて渡せる便利さがあるものの、受け取ったデザイナーが中の画像を確認するのには結構な手間がかかってしまいます。
そこで不備が見つかった場合も考え、もし埋め込んだものを渡す場合はその画像の元データも一緒に渡すようにしましょう。

再入稿はデザイナーとクライアントだけでなく、その間に立って手配してくれる人の手間暇も食い潰すなど、誰にとってもいいことのない作業です。

こちらの記事も参考に、デザイナーには一発OKの文字データと写真データで、制作に没頭してもらいましょう。
きっと上がってきたデザインも一発OKになること間違いなし!

執筆者プロフィール

本田 一彦
本田 一彦
学校では音楽関係の勉強をしてきたにもかかわらず、写植オペレーター兼版下フィニッシャーとして、約30年前にそのキャリアをスタート。工場にゴロゴロいた、もと活版…[続きを読む]

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