「まだまだだよ、Googleさん!」と言おうとしたけど……

「まだまだだよ、Googleさん!」と言おうとしたけど……

以前、あるソフトウェアメーカーでの社内翻訳に携わった時期があります。
もともと翻訳が専門ではないため知識不足で大いに困った反面、とても良い経験でした。

そんな私の当時のライバルは、ExciteさんやGoogleさん。(おい)

「おーい、これExcite翻訳にぶち込んだんだけど、正しいかどうかチェックしてくれる?」なんて指示はまだマシなほう。
頼まれていたメールの和訳をやろうとしたら、「あ、急いでたからGoogle翻訳でやっちゃった、返信もGoogleでしちゃったよ」と言われ、「あ、そうですか……」という言葉しか出なかった時の、あの微妙な気持ち。

で、今回のブログでは、時に珍妙な翻訳を返して笑わせてくれるGoogleさん相手に、「まだまだだよ!」と(大人気なく)上から目線で物申すことにしたんです。

……の、つもりだったんですが。

悪いのはGoogleだけじゃない

試しに「よろしくお願いします」と入力してみると。

hey-google-01

これは変!

……とツッコミたいところですが、正直、Googleのせいとは言えませんね。

そもそも原文が「(はじめて/これから)よろしくお願いします」なのか、「(この件を)よろしくお願いします」という意図なのか、前後関係が不明なこの一言だけでははっきりしません。

Googleさんの戸惑いは、もっとも至極です。

原文がよければ機械翻訳の精度も上がる

すでに多くの方々が実感されていることと思いますが、Googleさん、以前より翻訳の精度が格段に上がっています。

さて、今度は「ご検討のほどよろしくお願いします。」と入力してみます。

hey-google-02

……先ほどとは打って変わり、パーフェクトな訳が返ってきました!

Googleでおかしな訳が返されるケースというのは、原文の作りに問題があるか、あるいは複雑な構造であることが多少なりとも影響するような気がします。

  1. 主語がない、あるいは主部と述部の切れ目が不明確
  2. 複数・単数表現が明確ではない
  3. 丁寧表現がいくつも含まれていて複雑

……そもそも、自動翻訳結果が正しいかどうか判断できる英語力があれば、機械翻訳は必要なく、その有用性自体が下がっちゃうんですけどね。(汗)

すべてはライティングに尽きる(……と思う)

Google先生の戸惑いは、人間の翻訳者さんが抱える戸惑いでもあります。

例えば、英訳が必要な和文の中に「画面の隅にチラチラした影が映っている。これはバグではないのか?」という短い一文がある場合。目にした時点で、翻訳者の頭の中には依頼主への質問がいくつも発生しています。

  1. 「画面の隅」というのは具体的にはどこ?  上? 下? 右? 左?
  2. 「影」というのは1つ、それとも複数? どんな形状?
  3. 「チラチラした」というのは、点滅するような動き? あるいはもっと別のもの?

プロの翻訳者さんは、字面通りに処理する機械翻訳とは異なり、こうした細かい点までチェックして、異なる言語で最大限に正確なコミュニケーションを再現する努力をしています。いわば校閲者としての役割も果たしてくれているわけです。

機械・人間にかかわらず、原典となる文章の完成度こそ、翻訳の精度の肝! なのです。

これは何も翻訳作業だけではなく、あらゆる業務に共通して言えることで、明確に伝わることを意識して準備された文章というものは、最終的な時間と労力の軽減につながっている思います。

というわけで、大事にしましょう、ライティング!

執筆者に質問しちゃう!

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