Marketo 作成日と取得日の違い

Marketo 作成日と取得日の違い

レポートは、グラフよりも数字で眺めたい派のクマガイです(ただ、グラフ作成が苦手なだけ…….です笑)

レポート報告には様々な切り口がありますが、Marketo導入企業様でよく見られる指標として「リード獲得数」があると思います。Marketoであれば「顧客の実績(People Performance)」レポートで、「年/四半期/月/週/日」といった期間ごとのリード獲得数を簡単に集計することが可能です。

と、前置きはここまでにしておき、今回の本題は「レポートそのもの」ではなく、別のところに焦点を当ててみたいと思います。
それは、Marketoの「作成日」「取得日」という、似て非なる2つのフィールドについてです。この2つを正しく理解して、日々のレポーティング業務に活かしていただければ幸いです。

「作成日(Created At)」とは

Marketoのデータベース内に「作成された日」です……、と説明すると「そのままやないかい!」とツッコミをいただきそうですが、実はこの「作成された日」というのがMarketoの場合にはひとクセあります。

「作成日」のフィールド。

Marketoには「既知(Known)」のリードと「匿名(Anonymous)」のリードがあります。
既知のリードとはメールアドレスを獲得済みで、Marketoデータベース内に顕在化しているリードです。
それに対して、匿名のリードはMarketoのトラッキングコードである「マンチキン(Munchkin)」が有効なページに、初回のアクセスをしたタイミングで作成されるリードです。匿名リードは既知とは異なり、システムの裏側でウェブアクティビティの追跡だけをしている状態のため、データベースのリード一覧から目視で確認することはできません(※匿名リードの行動を見るレポートもあります)。

匿名リードが既知となるには次のような場合があります。

  • ウェブアクティビティだけ追跡されていた匿名のリードが「フォームの入力」でデータベース内に「既知」となる
  • リストインポートやCRM同期などでメールアドレスだけ先に存在していた既知のリードが「Marketoから送信したメールをクリック」することで匿名のリードとマージされて「既知」となる

これらの「匿名から既知」の流れの場合「作成日」は「既知になった(=データベース上に顕在化した)日時」ではなく、「匿名のリードが作成された日時」となります。そのため、認識とのズレが生じることが多いです。

以下に例を挙げてみます。

  • 2021年12月1日に初回ウェブアクセスし、匿名のリードが作成される
  • その後、2022年1月15日にフォーム入力し既知のリードとなる

この場合、2021年12月いっぱいまでデータベース上では目視できなかったのに、「作成日」は「2021年12月1日」になるため、レポートを「作成日」ベースで集計した場合「2021年12月中に獲得されたリード」という扱いになってしまいます。その結果、年次や月次レポートがおかしなことになってしまうことがご理解いただけるかと思います。

「取得日(Acquisition Date)」とは

「作成日」を理解した上で、次は「取得日」を理解しましょう。
「取得日」は英語表示だと「Acquisition Date」で、この「Acquisition」という言葉は他のフィールドでも使われています。それは「新規顧客獲得プログラム(Acquisition Program)」です。

「新規顧客獲得プログラム」について、私なりの言葉で説明すると以下のようになります。

Marketoのデータベースに新規リード(新しいメールアドレス)が追加されたきっかけとなったプログラム(およびその名称が入るフィールド)

さらに補足をすると、プログラムの「メンバー」タブに「取得者(Acquired By)」という列があるのを見たことがある方もいらっしゃると思いますが、これは「このプログラムをきっかけに取得(Acquired)された既知のリードですよ」という目印になります。

プログラムのメンバータブで取得者のマークがついているリードは、新規顧客獲得プログラム名のフィールドにそのプログラム名が入っている

「新規顧客獲得プログラム」および「取得者」は、マーケティング施策で言うところの「リードジェネレーション」に貢献したプログラムを明らかにすることができる指標となっています。
例えば、フォーム入力でダウンロードコンテンツを配布するプログラムが複数あったとして、ダウンロードされている件数がトップのプログラムでも「取得者」の件数が少なかった場合は、フォーム入力をしているのは既存リードばかりで、実は「リードジェネレーション」には貢献できていないということが明らかになります。

ということで、(Acquisitionを「取得」と訳すか「獲得」と訳すかのビミョーな翻訳ブレはありますが、)この2つのフィールドは深い関係にあり、「取得日」は「新規顧客獲得プログラム」のフィールドが埋まったタイミングの日時が入ります

「作成日」と「取得日」をあらためて比べてみる

ここまでで「作成日」と「取得日」の違いについてはご理解いただけたかと思います。
「作成日」は「初回のウェブアクセス日時」となる場合があり、データベース内に「既知のリード」として顕在化した日と一致するとは限りません。
じっくりとウェブ回遊をした上でフォーム入力に至った方などは、作成日と実際にデータベース内で既知のリードとなった日が2ヶ月以上も開いている、なんてことは往々にあり得ると思います。

それに対して「取得日」はプログラムを経由して「既知のリード」となった日時が入ります。ですが、実はこの「プログラムを経由して」という点が一つの落とし穴で、手作業での直接入力や、CRM同期、プログラムと関連付けていないリストインポートやフォーム入力などで、リードがプログラムを「経由せず」データベースに入ってくると、「新規顧客獲得プログラム」および「取得日」が入らず空のままになってしまいます。

既知のリード獲得数を「作成日」ベースで集計すると、実際の日時よりもずっと前になってしまう可能性があります。

既知のリード獲得数を「取得日」ベースで集計すると、そもそも取得日が空で集計できない可能性があります。

既知のリード獲得数集計のベストプラクティス

ここまで読み進めて、「結局、どっちもダメじゃん!」と思った方もいらっしゃると思いますが、「既知のリード獲得数」の集計は「取得日」ベースで行うことをおすすめします。

「初回のウェブアクセス日時」という不確定な要素に影響される「作成日」に対して、「取得日」は工夫次第でコントロールしやすいものです。先ほど例に挙げていた「取得日が入らないパターン」をカバーするスマートキャンペーンを準備しておき、既知のリードとなったタイミングで必ず何かしらのプログラム名が「新規顧客獲得プログラム」に入るようにすれば、「取得日が空のまま」ということを防ぐことができますし、かつ「既知のリードとなった日時」を適切に残しておくことができるようになります。

冒頭でも触れたMarketoのレポート「顧客の実績」も、初期設定では「取得日」ベースになっています。だからこそちゃんと取得日を入れてあげることは重要なのです。

弊社ルシダスでも「取得日」ベースで「既知のリード獲得数」をレポーティングするために、新規顧客獲得プログラムを付与するためのプログラムとスマートキャンペーンを様々なパターンで準備しています。レアなものですと、「お客様が配信停止フォームに間違ったメールアドレスを入力してしまい、新規リードが作成されてしまった!(しかも正しいメアドは配信停止完了していない)」といったパターンにも対応できるものもあったりします笑

まとめ

どのくらい取得日が空っぽなリードがいるかは、データベースにあるシステムスマートリスト「獲得プログラムなし(No Acquisition Program)」を見ていただければ、すぐに確認できます。

[データベース > システムスマートリスト > 獲得プログラムなし]

あまりにも新規顧客獲得プログラムや取得日が空のままのリードが多いぞ!? という場合は、遡っての付与までは難しくとも、今後、これ以上増えてしまわないように何かしらの対応をされることをおすすめします。名称だけでは誤った認識をしてしまいそうな「作成日」と「取得日」について、これからはしっかり使い分けてレポーティングの精度を上げていきましょう!

執筆者プロフィール

熊谷直樹
熊谷直樹
高校から始めた男子新体操をきっかけに、ブレイクダンスなど身体を使ったパフォーマンスにどっぷりとハマる。
そのままフィットネス業界に入り10年弱、インストラクターや店舗の運営・管理、新店舗…[続きを読む]

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